美術展随想

2012年6月 2日 (土)

シャガール ー愛をめぐる追想ー 〜魂を解放する美術界のモーゼ〜

展覧会『シャガール ー愛をめぐる追想ー』は、NHKサービスセンターの主催により、今年3月から、大阪 京都 横浜 と巡回し、今月日本橋でフィナーレを迎える。会場は、それぞれの地の高島屋のギャラリーだ。(詳しくは→こちら

先日、買物に出かけてたまたま開催を思い出して急いで会場に潜り込んだ感じだったが、ラッキーだった。未公開作品がかなりあった。

Chagall シャガールは、私の好きな画家の一人である。
愛らしいロバ、雄鳥、雄鳥人間(雄鳥と人間が合体した姿。シャガール自身か...)、ヴァイオリン人間(楽器のヴァイオリンと奏者の人間が合体している。左肩から先が楽器になっていて、それを右手の弓で弾いている...)、魚(キリストの象徴)、妻ベラ、空中に浮かぶカップル、ブーケ、そしてサーカス等々、親しいモチーフに溢れ、一々、微笑みと伴に頷きながら観入ってしまう、一貫して、そんな、喜びを感じさせてくれる作品群だ。

今回改めて知ったことは、シャガールのファーストネーム Marc(マルク) が、Moses(モーゼ)に由来していたこと。シャガールの生家は敬虔なユダヤ教徒の土地柄で、彼の絵に決まって出てくるロバや鶏たちや人や家々も自身の幼少年期に親しいモチーフだったのだ。
彼はラヴェルのバレエ〈ダフニスとクロエ〉の美術も担当し※後註1参照、その画集も出版されていて※後註2参照、その普及版は私の宝物のひとつ。ギリシャ神話的題材にも関わらず、ここでさえシャガールはいつものシャガールなのだ。
長い芸術家人生で、これほど一貫した作風を持続したことは、変貌に変貌を重ねていったピカソや作曲家のストラヴィンスキーなどとは大違いだ。

独特な色彩や暖さは故郷ヴィテブスクへのノスタルジーとベラへの愛から生まれたのか? 惑星ソラリスの海に、そしてイタリアの廃虚の中に故郷を現出させたタルコフスキーを、その一貫した波動からなんとなく連想した私だった。

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※後註1:1958年、パリオペラ座の依頼による。

※後註2:これはバレエの美術・衣装に先駆けて制作されたリトグラフで、1949年、美術出版・編集者ウジェーヌ・テリアドから話を持ちかけられたのを機に制作されている。出版は1961年テリアドより限定250部が為された。

 因に、ラヴェルのバレエ〈ダフニスとクロエ〉の初演時(1912年)の美術・衣装は、シャガールの師であるレオン・バクストで、シャガールはこの頃助手を務めていた。

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