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2016年4月 9日 (土)

“天国の鳥”

“天国の鳥”


Tengokunotori_2

以下、引用。


《ラヴェルの墓》より 第一楽章 “天国の鳥”

 この作品を鷲谷サトさんの想い出に捧げます。


鷲谷サトさんへ

 鷲谷さん、お元気でいらっしゃいますか? 
 ぼくは鷲谷さんからアイヌ民謡を教えて頂きました。一介の無名の作曲家に過ぎないぼくに鷲谷さんさんはほとんど知っていらっしゃる全ての歌を授けてくださったのではないでしょうか? それだけではありません。鷲谷さんが民謡の旋律を基に萱野茂さんの助けを得られてご自身でアイヌ語の詩を付けられた“アイヌ ネノアン アイヌ”に込められた思い(人間らしい人間として共に生きて行きたい、共に歩いて行きたい という思い)は、今の私にはこの世界の宝物と言えるくらいに輝きを放っているのです。
 ご近所の川に棲む鳥のことをいかにも愛おしそうに語られていましたね、鳥が飛び立つ時の仕草のことなどを。アイヌの踊りには鳥を模したものがありますから、鷲谷さんは、「こうした身近な所にいる鳥をよく観ることでも踊りの参考になるよ」と。
 鷲谷さんが亡くなられたことを聞いてしばらくしてからですが、ぼくは鷲谷さんはタ(踏舞と訳されるアイヌ伝承舞踊)を舞いながら鳥になって天国に昇って行かれたのだろうか と一瞬想像しました。そのようなユカㇻをぼくは知っていたからです。
 また、「侵略」について多くのこと考えさせられました。
 悲しいことに、人類は戦争という野蛮から未だに卒業できないでいます。
 日本は終戦後間もなくしてこの戦争を永遠に放棄することを誓いました。憲法はその誓いの書であり、何よりも軍国日本が侵略を犯してきたアジアの人たちへの確かな謝罪の証明でありました。アイヌ民族への侵略はもっと古くからのものでした。そして今からちょうど10年前に漸く北海道旧土人保護法が撤廃され、「アイヌ新法」が成立しました。その少し前に国会で萱野先生のアイヌ語が響いたこともまだ記憶に新しいことです。(その萱野先生も5月にお亡くなりになりました。そちらでお会いしていらっしゃるのでは...?)
 それなのに、今世紀はじめに9.11があり、米大統領の「これは新しい戦争である」という号令から、日本も完全に大きく狂ってきてしまいました。永遠の誓いも空しく、その崇高な誓いそのものを放棄しようという動きが増してきてしまいました。平和を祈る全世界の人たちは悲しんでいます。鷲谷さんもきっと悲しんでいらっしゃることでしょう。
 鷲谷さん、ぼくは今回のこのBouquet des Tons の皆さんからの委嘱をとても意義深いことであると思いました。Bouquet des Tons の皆さんは音楽によって平和への祈りを捧げている人たちだからです。それに今回ラヴェルの時代の戦争の前後に作曲されたぼくの大好きなラヴェルの作品の編曲と同時にぼく自身の作曲をさせて頂けたことも大変光栄なことでした。時代の流れに連れて人の趣向や考えも変わるでしょう。しかし、時と場所を超えても響き合う事ごともあるのだと思います。音楽はそのような心の連鎖を可能にする力を秘めているのだと思います。
 最後にこの作品《ラヴェルの墓》より 第一楽章 “天国の鳥”の成り立ちについての秘密のひとつを打ち明けます。
 鷲谷さんのことを思いながら始めた作曲でしたが、その途中でぼくは綿井健陽さんのドキュメンタリー映画『Little Birds - イラク 戦火の家族たち- 』を観ました。米軍の攻撃によって殺されたサクバンさん一家の3人の子供たち。そのお墓に「おとうさん泣かないで わたしたちは天国の鳥になりました」ということばが...。
 溢れるものがメロディーをより確かな形へと向かわせて行きました。
 そうです。“天国の鳥”のメロディーは正にこのことばを歌っているです。

 鷲谷さん、まだまだ話は尽きません。またきっとどこかでお会い出来ますことを信じています。その時はまたぼくのへたくそなイヨハイオチㇱを聴いてください。それまでどうかお元気で...。本当にありがとうございました。

                     2006.6.30 髙橋 喜治


▼是非読んで頂きたい鷲谷サトさんに関する本:「母と子でみる沖縄戦とアイヌ兵士」橋本進 編 
 
▼是非観て頂きたい綿井健陽監督ドキュメンタリー映画のDVD:「Little Birds -イラク 戦火の家族たち- 」  安岡フィルムス



Bouquet des Tons Vol.18 当日プログラムより若干訂正の上引用、以上。



作曲:高橋 喜治
《ラヴェルの墓》より第1楽章 “天国の鳥”
演奏:Bouquet des Tons




 

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2013年1月 3日 (木)

限りない美への憧憬と平和への歩みまたは揺籃

謹賀新年

旧年中は拙ブログをご覧頂きましてありがとうございました。

年頭に私はふたつの映画を想起しました。
綿井健陽監督の『リトル・バーズ〜イラク戦火の家族たち』と
黒木和雄監督の『父と暮せば』です。
イラクのサクバンさん一家を襲った惨劇も、広島の美津江の一家を襲った原爆による惨劇も、余りにも突然に、それはやってきました。
その瞬間までまさかそんなことになろうとは想いも寄らなかったことでしょう。
戦争はそのようにして人の幸福を一瞬にして奪い取ります。

平和憲法である日本国憲法は私たちのものであり、それは今や「押付けられたもの」などでは決してありません。しかし旧体制は、改憲し、自衛隊を「国防軍」として、この国を戦争の出来る国にしたいのです。

私はとっくの昔に旧体制に背を向けていました。私にとって戦争に依存した旧体制はまるで異次元のものです。しかし、こちらが望んでもいないのに、それは突然、向うからやってくるものなのです、上記ふたつの映画のように、或いは、福島原発震災のように...。

「音楽」も「平和」も子供です。
子供は愛情をもって育むことによって成長していきます。
戦争はそのどちらをも、その契機さえも、一瞬のうちに殺してしまいます。これは人類にあって最も重い罪に他なりません。

私にとって芸術行為はそんな理不尽に対する残された最後のささやかな抵抗にほかなりません。

今年もどうぞよろしくお願い申上げます。

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2011年4月26日 (火)

「微量放射能による被害は10年後にやってくる…」(リンク追加)

以下、シネマトゥデイ映画ニュース(2011年4月17日11時01分)より転載。

微量放射能による被害は10年後にやってくる…鎌仲ひとみ監督、「東京も汚染地域」放射能の恐ろしさを訴える

 [シネマトゥデイ映画ニュース] 14日、渋谷アップリンクにてイラク、広島と長崎、アメリカの被爆者たちに焦点を当て、目に見えない微量放射能による被害と その関係者を取材した社会派ドキュメンタリー映画『ヒバクシャ 世界の終わりに』の上映後、鎌仲ひとみ監督によるトークショーが行われた。

 原子力問題が高まるなかで上映された、映画『ヒバクシャ 世界の終わりに』は、鎌仲監督が2003年に製作したドキュメンタリー。六ヶ所村核燃料 再処理施設の問題に焦点を当てた『六ヶ所村ラプソディー』(2006年製作)、エネルギー問題をテーマとした映画『ミツバチの羽音と地球の回転』 (2010年製作)と放射能、原発、そしてエネルギー産業の真実に目を向け続けている鎌仲の原点ともいえる作品だ。

 作中には、戦慄を覚えるようなシーンが登場する。アメリカ最大の核施設であるプルトニウム製造工場があるハンフォードは、原爆を製造したときから 何十年もの間、放射性物質が環境にばらまかれ、放射性ヨウ素131を、気象観測用の風船をつかってばらまく実験まで行われていた。風下に広がる広大な農村 地域の人々は被ばくした。反対運動を続ける住民トム・ベイリーが、鎌仲監督を車に乗せ、ハンフォードの“死の一マイル”と呼ばれる地域を案内するシーンで は、一家全員がガン、奇形児を出産後に自殺、甲状腺機能障害……。延々と続くトムの説明に鎌仲監督も絶句する。一マイル四方に住む28家族ほとんどの家族 の女性は甲状腺障害があり、みなが流産を経験していた。最近になって原発問題に目を向け始めたという女性は、「放射性ヨウ素131という言葉は、今朝 ニュースで聞いたばかりでした。被爆することの恐ろしさを、真正面から突き付けられた気がしました」と話した。

 「テレビでは、安全です、大丈夫です、と繰り返している。わたしはそれを犯罪だと思います」、12年間、原子力問題と向き合い続け、被ばくに苦し む人々を取材してきた鎌仲ひとみ監督は、トークショーできっぱりと言い切った。被爆した多くの子どもたちが、白血病やガンに苦しむ姿を見てきた。「喫煙者 の発がん率と比べれば」という意見もあるが、では、放射性物質の影響が大きい小さな子どもたち、妊婦たちはどうだろう。彼らが、微量の放射性物質を浴び続 けるとどうなるのか、悲劇はすでに始まっている。「一刻も早く、福島から、子どもたち、妊婦たちを避難させたい」、と訴えた鎌仲監督は、東京も例外ではな いと警告した。「風や、雨に乗って半減期30年の放射線セシウムが東京に降り注いでいます。土壌は汚染され、小学校のグラウンド、公園の砂場も汚染されま す。東京だって、汚染地域です。ハンフォードと同じ、風下の人間たちになってしまったんです」。「ただちに健康には影響しないので、冷静に」と政治家は繰 り返している。だが目に見えない放射性物質は、ゆっくりとわたしたちの体内に蓄積していき、10年後、15年後、ガンや白血病となって、わたしたちに襲い かかる。そのとき、「政府は安全だと言っていたのに」と声をあげたところで、時すでに遅く、2011年の福島原発による放射性物質の被爆によってガンに なったという因果関係は立証できない。「東京に住む人々は、福島原発に無関心過ぎた。加害者でもあると同時に、わたしたちは被害者になってしまったんで す」と鎌仲監督は話した。

 反原発デモに、16,000人が集まっても、ほとんどのメディアが報道しない。電力会社は、大手メディアにとっての最大のスポンサーだからだ。鎌仲監督は、「プロパガンダの罠にはまらず、自分で調べて、考えて」と訴えた。

 この日行われたトークショーの中で、鎌仲監督は、「自分で考えに責任を持ってほしい」と、何度も口にした。原発推進派、反対派、「安全」という 人、「危険」という人。たくさんの意見が飛び交っている中、わたしたちは、情報を自分で集め、自分で考え、自分の責任で行動していかなければならない。何 を信じ、どう行動するか、すべては自分たち次第だ。(編集部:森田真帆)

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2010年11月 3日 (水)

愛と勇気を持って真実をみんなで知れば、きっと変えることは出来るだろう(その3)

おすすめ映画です。これから全国的に上映されます。
「ZERO 9/11の虚構」
http://zero.9-11.jp/index.html

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2010年6月14日 (月)

菅・元の木阿弥裏切内閣につけるくすり

 僕は、ジャングルでの冒険についていろんなことを考え、自分でも、色えんぴつではじめて絵を描(か)きあげた。僕の絵第一号だ。こんなふうだった。
 この傑作を、僕はおとなたちに見せて、「この絵こわい?」と聞いてみた。
 すると答えはこうだった。「どうして帽子がこわいの?」
 帽子なんかじゃない。それはゾウを消化している大蛇ボアだったのだ。それで僕は、おとなたちにもわかるように、ボアのなかが見える絵を描いてみた。おとなたちには、いつだって説明がいる。おかげで僕の絵第二号は、こんなふうになった。 ところがおとなたちは、「なかが見えようが見えまいが、ボアの絵はもう置いときなさい」と言った。  〜サン・テグジュペリ「星の王子さま」(河野万里子訳)より

クリス 「ソラリス研究は無責任な空想の結果行き詰まったのだと思います。感情レベルでの判断は慎みますが、決定は下さねばなりません。私には具体的な目的があります。ソラリス研究の行き詰まりを認め、ステーションを軌道から外すか、非常手段として、海に放射線を照射してみるか」
バートン 「いかん」
クリス 「あなたは研究続行を主張しているのでは?」
バートン 「だがそれは海を破壊することではない。手段を選ばぬやり方には反対だ。道徳性に立脚した研究でないとね」
クリス 「非道徳でも目的は遂げられます。ヒロシマのように」
バートン 「それでは本末転倒だ。おかしいぞ」
クリス 「別におかしくなんてない。あなた自身だって見たのは幻覚ではないと信じている」  〜アンドレイ・タルコフスキー「惑星ソラリス」(岡枝慎二翻訳字幕)より

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2010年5月17日 (月)

愛と芸術が平和を守る

武力で平和は守れない。
イラク戦争の悲惨を想い起こして欲しい。その意味することが解らない方は綿井健陽氏のドキュメンタリー映画『Little Birds -イラク戦火の家族たち-』をぜひ観て欲しい。そして墓標に刻まれたことば「おとうさん泣かないで、わたしたちは天国の鳥になりました」を忘れないで欲しい。
人を殺すことは重罪だ。
戦争という殺人、死刑制度による死刑という殺人もまた。そして自殺も...。
生命としての人間は「自分」を遥かに超越しているのだ。人は生命としての自分自身について何もかも知り尽くしていると言えるのか?
動物は生存のためのプログラムが十全なので本能にしたがって生きていけるけれど、人間は元々本能が毀れているので文化を必要とする。プログラムが十全ではないので人間が存続するためには文化という共同幻想を必要とする。そんな人類に人間間での弱肉強食や淘汰説などは本質的に成立しがたいのだ。

戦争に依存した旧体制は自己崩壊を免れない体制だった。
私たちは今その崩壊に立会っている。

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