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2013年5月 1日 (水)

「貴女は薔薇の心」〜《子どもと魔法》【限定公開MP3TUBE追加】

前の記事での引用から触発されて、コレットの《子どもと魔法》の中の次の詩もご紹介したくなりました...(「子ども」が歌うこの場面の音楽まるごとを想いつつ引用...)

Toi, le cœur de la rose,
Toi, le parfum du lys blanc,
Toi, tes mains et ta couronne,
Tes yeux bleus et tes joyaux...
Tu ne m'as laissé, comme un rayon de lune,
Qu'un cheveu d'or sur mon épaule,
Un cheveu d'or... et les débris d'un rêve...

貴女は薔薇の心
貴女は白百合の香
貴女のその手と冠、
青い瞳と宝石...
貴女は僕の肩の上に 月の光のような
一条の金色の髪を残しただけで去ってしまった
の金色の髪を..... そして夢の名残を.....


「子ども」はオリジナルでは6才くらいの坊やの設定なのですが、それにしてもませた坊やですね。
それでもこの部分はこのオペラの中でも最も切なく美しい場面です。
私は子供の時に買ったこのオペラのボーカル・スコアに、当時擦切れるほど聴いていたレコードに付録していた台本の訳の全てを五線譜に沿って書込んでいました。そこからこの場面全体をご紹介したいと思います。
今回上演のオペラの字幕は実に素晴らしく簡潔に書かれていました(それによって物語は
容易に時空を超えて身近なこととして私たちへと伝えられるようになっていました)が、こちらの引用は参考までに...です。

物語は、宿題をさぼった子どもがお母さんに叱られた腹いせに、ティーポットと中国製茶碗を掌で弾き飛ばして粉々にし、籠の中の栗鼠をペン先で刺し、猫の尻尾を引っ張り、火掻棒で暖炉の火を引掻回し、湯沸かしを足で引繰り返し、火掻棒を剣にして壁掛けに描かれた羊飼いたちを攻撃し壁紙を引破り、大時計の振子にぶら下がってその振子を取ってしまった挙句、
机の上のノートや本を片っ端から粉々に引裂いてしまうのですが、その後物語は、子どもに破壊され傷つけられたものたちが次々と登場して歎きの歌を歌うのです。(結末は割愛)
その中の、子どもに破られた童話の本の中のお姫様が現れて歌う場面。

以下、音楽まるごとを想起しつつ引用。失礼ながら訳者のお名前が現在判らなくなってしまっていますが、判り次第追記させて頂きます。

(管理人註:「子ども」)は本から引裂かれた紙の上に寝ていた。そして彼が横になっていた紙の山がタイルのようにもち上がって…
…はじめはだらりとした腕、金髪、そして今し
がた目を覚ましたといわんばかりの宝石を飾った腕を延ばしている妖精物語の素晴らしいお姫様の姿がそこに現れた。


子ども
(驚嘆して)ああ、彼女だ! 彼女だ!
お姫様:そうです
 お姫様です。あなたの魅惑のお姫様です
    昨夜あなたが夢の中で呼びかけたお姫様です。
    
昨夜始まったその物語が長いことあなたを眠らせなかったお姫様です
    あなたはひとりで歌いました。
   「彼女は金髪でお日様の色を
した瞳を持っている」と。
    あなたはわたしを薔薇の芯の中に、白い百合の中に探し求めました。
    あなたは子どもらしい
心でわたしを探し求めました。
    そしてきのうからわたしはあなたの初恋の人でした。
子ども:ああ、彼女だ
! 彼女だ
お姫様:それなのにあなたは本を引裂きました。わたしはどうなるのでしょう?
    悪い
ことをする魔術師は
      わたしを死の眠りに追いやったり
      わたしを雲のように散らしてしまうでしょう。
    あなたは初恋の人の運命を無視することを悲しまないのですか?
子ども:ああ、行かないで、ここにいて。

      ねえ、青い鳥の鳴いていた樹はどうなったの?
お姫様
(残っている紙塵を指差して)あの枝をごらんなさい。
    あの果物をごらんなさい。ああ!
子ども
(心配して)あなたの首飾りは魔法の首飾りは?
お姫様:ごらんなさい。ちぎれたその継
輪を。ああ!
子ども:あなたの騎士は? あけぼの色の毛のついた冠をかぶった王子
さまは?
      ああ! 剣を持った王子さまに来て欲しい。
            剣が欲しい、剣が欲しい!
      ああ! 僕の腕の中に、腕の中に!
      いらっしゃい! いらっしゃい!
      あなたを守ってあげましょう!
お姫様
(悲しみに腕をじまげて)ああ! 弱虫の小さなお友達。
      あなたはわたしのために何ができますか?
      夢の長さを知っているでしょうか?
      わたしの夢はたいへん長かった。
      たぶんその夢の終りに
    あけぼの色の毛の付いた冠をかぶった王子
様になったのは
    あなただったでしょう

大地が揺れて彼女の足元で口を開く

お姫様(叫ぶ)助けて! 助けて!
      眠りと夜が、わたしを捕えようとする!
子ども:僕の剣を! 剣を! 剣を!

子どもはお姫様の金髪、着物、白い長い腕をつかまえようとする。
けれども見えない力が彼女を吸い込み、彼女は地下に消えてしまう。

子ども(ひとり残され悲嘆にくれ小声で)
    貴女は薔薇の芯です
    貴女は白百合の香りです
    貴女の手と冠
    青い瞳と宝石

    貴女はぼくの肩の上に
    お月様のような一本の金髪を
    残しただけで行ってしまった

      一本の金髪を… そして夢の名残を…

彼はかがんで残った紙屑の中から妖精物語の切れ端を見付けようとするが、何も出てこない。

 

子どもと魔法@金沢(5月3日於石川県立音楽堂)のご案内はこちら




(このMP3TUBEは限定公開です)
この部分の楽譜PDFはこちら(2016年3月20日まで公開)
【訂正】21日まで(1日延長します)

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