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2012年1月

2012年1月19日 (木)

「海の夢」、または、新しい世界の新しい芸術への航海

寒中お見舞い申し上げます。
喪中につき例年の新年のご挨拶は控えさせて頂きました。

昨年は実に多くの方々が恐ろしく悲しい出来事に見舞われました。
私も散々な目に遇いましたが、そこから新しい発見や認識もありました。

私自身はとっくに(少なくとも2010年2月24日に初演された“ポール・クローデルの『百扇帖』による二重奏詩”の作曲と同時に、意識の上では)旧世界と決別したのでしたが、古い皮を脱ぎ捨てたら、その皮が追いかけてきて、また、皮が包囲してきた、というような悪夢を見ているような2年でした。

まだその残夢は暫く続くようですが、与えられた運命とは裏腹に、今年は新しい世界にむけての芸術的飛躍を遂げたいと思います。

作曲の今のところの予定としては、7月20日(金)、すみだトリフォニー小ホールで開かれる Bouquet des Tons Vol.25 のための、20周年記念のお祝いの新作、その名も〈Bouquet des Tons〉の初演(連作の抜粋)と、初演日程は未定ですが(今年暮れ)、ギタリスト柳町正隆さんのリサイタルのための、尺八とギターのための小品の作曲。長年自主的に進められているピアノのための〈月巡りの歌〉の新作。幾つかのオーケストラ旧作品の改訂。それに、「オペラ」があります。(合唱作品〈YUKAR〉もBouquet des Tonsのための〈ラヴェルの墓〉も勿論忘れてはいませんが、多分今年その機会はないでしょう。)

昨年より訃報が相次ぎました。
驚いたのは、昨年12月の奈良英子さんのピアノと笛のコンサートの打上の席で、西川浩平さんから伺った、三木稔先生の訃報と、帰り道に奈良さんから伺った、林光先生の重態の知らせでしたが、林先生は今年5日にお亡くなりになられました。偉大な作曲家の死です。
林先生の〈原爆小景〉について僭越ながら私はこのブログ上で「20世紀が生んだ最重要作品だ」と言ったことがありましたが、林先生は、これから更に、燦然と輝く巨星で在り続けることでしょう。

年が明けて、奈良さんが、昨年11月13日の東京いずみ幼稚園ホールでの〈月巡りの歌〉より“1月(...海の夢)”の初演と、西川さんとの〈星の音楽〉全曲とアンコールでの“月の記憶”のDVDを送ってくださったのですが、“1月(...海の夢)”は、先ほどの「悪夢」とは正反対の意味で、幸先の良い「初夢」となりました。...(最大限に)感謝します!

まだまだ(或いは一層)多難な時代ですが、お陰様で、どうにか新しい航海は始まりました。
今年もどうぞよろしくお願いします。

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